PRODUCTION NOTE

Production Note プロダクションノート

企画の成り立ちについて

テリー・ジョージ監督が、初めてアルメニア人虐殺事件を知ったのは、『ホテル・ルワンダ』(04)のために1994年のルワンダ虐殺のリサーチをしていた時だったという。事件に興味を抱いたジョージ監督は独自にリサーチをはじめ、あるアルメニア正教の司祭の実話にまつわる企画を構想した。グリゴリス・バラキアンというその司教は1915年4月25日の一斉検挙で逮捕され、後に逃亡。自ら目撃した虐殺の実態を著した「Armerian Golgotha」を発表した。

同じ頃にジョージ監督は、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(08)や『ジェイン・オースティンの読書会』(07)の脚本家、ロビン・スウィコードが執筆した「Anatolia」というシナリオを受け取る。アルメニア人虐殺事件を扱ったその企画の監督をオファーされたジョージ監督は、その物語に違う角度からアプローチするべく自らリライトを行い、映画『THE PROMISE/君への誓い』のベースができあがった。

『ホテル・ルワンダ』に続いて「虐殺」という史実を扱った理由について、ジョージ監督は「ノンフィクションや史実をもとにしたドラマが、映画界でも最もパワフルなジャンルだと信じているから」だと語る。「映画史を振り返っても、デヴィッド・リーン監督の『アラビアのロレンス』(62)やスティーブン・スピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』(93)、ウォーレン・ベイティ監督の『レッズ』(81)、コンスタンタン・コスタ=ガブラス監督の『ミッシング』(82)といった優れたノンフィクション映画が、ホロコーストやチリ・クーデターやロシア革命のような歴史的出来事を人々に知らしめることができました。それらの映画のパワフルさに気づいた僕は、自分のキャリアをこのジャンルに捧げてきたんです」

ノンフィクションと創作を織り交ぜた登場人物

物語の中心人物となるミカエル、アナ、クリスは実在の人物ではない。ただしクリスに関しては事件当時のオスマン帝国で仕事をしていた数人のジャーナリストがミックスされているという。「1915年から16年にかけて、アルメニア人虐殺は第一次世界大戦のヨーロッパ東部戦線から入ってくる一大ニュースのひとつになりました」とジョージ監督は説明する。「連日、ニューヨーク・タイムズ紙やアメリカ中の様々な新聞や宣教新聞で報道されていたのです。クリスという人物が虐殺について記事を書き、政治家や権力者たちと交流する姿を描くことで、私は虐殺事件の全貌を語ることができたのです」

ミカエル、アナ、クリスが織り成す三角関係のメロドラマは、ジョージ監督にとってこの映画には不可欠な要素だった。「政治的出来事の中で三角関係を作り出すキャラクターが必要でした。そうすれば、観客が登場人物たちと心を通わすことができるからです」

医者になる大志を抱き、大都会コンスタンチノープルにやってくるミカエルは、当時の若いアルメニア人男性の代表。芸術家の娘としてヨーロッパで育ったアナは、アルメニア系の移民を代表している。「ヨーロッパに散った当時のアルメニア人たちは銀行業/音楽/文化に大きな影響力をもっていました。ミカエルとアナの経歴や背景はとても違っていて、そこに外部のキャラクターであるクリスが絡むのです」

ジョージ監督が思い浮かべたのは、デヴィッド・リーン監督の『ドクトル・ジバゴ』(65)や『ライアンの娘』(70)のような三角関係や愛し合う者たちを描いた史実ドラマだった。「ほかにも大好きな映画にウォーレン・ベイティ監督の『レッズ』があります。ベイティ演じるジョン・リード、ダイアン・キートン、そしてジャック・ニコルソン演じるユージン・オニールが三角関係を繰り広げる。これは観客の心を惹き付ける素晴らしい方法です。『THE PROMISE/君への誓い』では、ミカエルがクリスと一緒に暮らしているアナと恋に落ち、ジレンマが生まれます。この物語の甘い要素が、苦い政治的な背景を描くことを可能にしてくれるのです。三角関係の人間ドラマに観客を誘い込むことで、普段は政治性に興味がない人々も引き込むことができるのです」

一方でジェームズ・クロムウェル演じる大使ヘンリー・モーゲンソーは、第一次世界大戦とアルメニア人虐殺が勃発した時期にオスマン帝国に赴任していた実在の米国大使だ。虐殺とオスマン帝国で起こっていることに対して反旗を翻した初めての外交官で、アナトリアやトルコ一帯に広がったアメリカ人宣教師や彼らの伝道所に手を差し伸べた人物として知られている。「モーゲンソー大使が登場する場面はすべて、大使の自叙伝からそのまま引用した」とジョージ監督は明かす。大使とオスマン帝国の指導者のひとりであるタラート・パシャが対峙する場面のやり取りや、タラート・パシャがアルメニア人の保険証券を奪おうとする発言などは、モーゲンソーの回顧録の記されたものだという。

ジャン・レノが演じたフランス海軍のフルネ提督もまた、実際に3600人ものアルメニア人難民を救出した実在の人物。トルコの南沿岸に戦艦の一団を率いて向かい、モーセ山で立ち往生していた難民たちを救いだしたことで、現在もアルメニア人たちから偉大な英雄とみなされている。

作品の意義に共感して集まったキャストたち

テリー・ジョージ監督が、初めてアルメニア人虐殺事件を知ったのは、『ホテル・ルワンダ』(04)のために1994年のルワンダ虐殺のリサーチをしていた時だったという。事件に興味を抱いたジョージ監督は独自にリサーチをはじめ、あるアルメニア正教の司祭の実話にまつわる企画を構想した。グリゴリス・バラキアンというその司教は1915年4月25日の一斉検挙で逮捕され、後に逃亡。自ら目撃した虐殺の実態を著した「Armerian Golgotha」を発表した。

同じ頃にジョージ監督は、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(08)や『ジェイン・オースティンの読書会』(07)の脚本家、ロビン・スウィコードが執筆した「Anatolia」というシナリオを受け取る。アルメニア人虐殺事件を扱ったその企画の監督をオファーされたジョージ監督は、その物語に違う角度からアプローチするべく自らリライトを行い、映画『THE PROMISE/君への誓い』のベースができあがった。

『ホテル・ルワンダ』に続いて「虐殺」という史実を扱った理由について、ジョージ監督は「ノンフィクションや史実をもとにしたドラマが、映画界でも最もパワフルなジャンルだと信じているから」だと語る。「映画史を振り返っても、デヴィッド・リーン監督の『アラビアのロレンス』(62)やスティーブン・スピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』(93)、ウォーレン・ベイティ監督の『レッズ』(81)、コンスタンタン・コスタ=ガブラス監督の『ミッシング』(82)といった優れたノンフィクション映画が、ホロコーストやチリ・クーデターやロシア革命のような歴史的出来事を人々に知らしめることができました。それらの映画のパワフルさに気づいた僕は、自分のキャリアをこのジャンルに捧げてきたんです」

世界のいかなる権力が この民族を消せるのだろう すべての戦いに負け 組織は崩壊し 文学は読まれず 音楽は聴かれず 祈りは通じず 消し去れるか試してみよ 彼らが笑い 歌い 祈ることがなくなるかを どこかで彼ら2人が出会えば 新たなアルメニアが生まれるのだ(ウィリアム・サローヤン)

BG